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2月19日 (日)

プログラム

抄録





[P-134] 悪性リンパ腫との鑑別で苦慮した結節性多発動脈炎の一例


【症例】57歳 女性
【主訴】発熱、皮疹
【現病歴】生来健康で、200X年8月中旬より発疹が生じた。8月下旬から皮疹増悪、咽頭痛、発熱を生じ前医受診した。WBC 13,000 /μL、CRP 7.3 mg/dLで抗菌薬開始されたが、改善を認めず当院紹介となった。
【生活歴】飲酒:缶チューハイ 1本/日、喫煙:5-6本/日(20歳〜)
【身体所見】血圧 140/88 mmHg、脈拍 95/min整,SpO₂ 98%(room air)、BT 36.4 ℃(解熱薬使用),咽頭発赤なし,頸部リンパ節蝕知せず,前胸部に発赤調,掻痒感を伴わない皮疹あり. 
【CT】頸部リンパ節の反応性腫大を認める
【血液検査】WBC 11640/μL、CRP 9.5 mg/dL、ASO 27 IU/mL、PCT 0.05 ng/mL、AST 14 U/L、Cre 0.50 mg/dL、BUN 7 mg/dL、LD 130 U/L、sIL-2R 685 U/mL
【経過】ウイルス性中毒疹と考えたが、発熱・皮疹が増悪し精査加療目的で入院となった。高熱継続、盗汗様症状も出現しsIL-2R高値、リンパ節腫大、顎跛行、筋痛を認め悪性リンパ種を鑑別にあげ精査施行した。紅斑が結節状に変化したため結節部位の皮膚生検を行ったところ,動脈炎所見、内膜から外膜にかけてフィブリノイド壊死を認めた。ACR基準、7項目の診断基準を満たし結節性多発動脈炎と診断した。プレドニゾロン 60㎎/日(1.0 mg/kg/日)投与で緩解した。
【考察】本症例では,初期に紅斑を呈していたが、徐々に結節状の紅斑へ変化を伴い全身へ広がった。B症状から悪性リンパ腫が想起されたが,特異的マーカーの上昇は認めず、造影CTでもリンパ腫を示唆する所見は認めなかった。顎跛行、筋痛から血管炎も想起され,皮膚生検より結節性多発動脈炎と診断された。持続する皮疹を診た際は,付随症状の問診が肝要であり,リンパ腫・血管炎症状を認める場合は積極的に組織生検を行うべきである。
【結語】悪性リンパ腫との鑑別で苦慮した結節性多発動脈炎の一例を経験した。

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