WSP1-001 定型化した膵移植手術、管理

◎平光 高久1  長谷川 雄基1  田中 慧1  余西 洋明1  西沢 慶太郎1  二村 健太1  岡田 学1  後藤 憲彦1  一森 敏弘1  渡井 至彦1  鳴海 俊治1
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院1

はじめに
膵移植手術は各施設において年間数例であることが多く、その術式、術後管理を定型化するには十分でない。しかし、当院では、これまでの症例の蓄積からほぼ定型化した手術術式、術後管理を行っている。
方法
膵移植のbench surgeryでは、cold ischemia time (CIT)を短縮するため、リガシュアーを使用している。基本的には胃十二指腸動脈は上腸間膜動脈からの血流が確認されれば再建を行っていない。必要であれば脾動脈、上腸間膜動脈をドナー腸骨動脈によるY graft を行い再建している。が膵移植は、膵腎同時移植(SPK)であれば基本的には腹部正中切開で腹腔内に移植し、膵移植を先行することによりCIT短縮を行っている。移植膵の門脈を、外腸骨動脈の外側に移動した外腸骨静脈に吻合することにより門脈血栓症予防となる。移植十二指腸は、bench surgeryで移植十二指腸の肛門側を長めに残しておくことにより、移植膵血流再開した後、産生される多量の膵液を長めに残した移植十二指腸内にドレナージすることにより、良好な視野で止血を行えるだけでなく、移植十二指腸を血流良好な部分で切離することができるため、断端からのleakageの予防にもなる。術後管理では、血栓症予防のため
術中から5000単位/日程度の少量のヘパリンを使用している。門脈血栓症の評価として、術後2-3日後、造影CTを行い、明らかな門脈血栓がないことをrule outしている。免疫抑制剤は、SPKではバジリキシマブ、PAKではサイモグロブリンを使用し、ステロイド、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチルにて管理している。タクロリムスは術後1週間は静注で使用しているが、それ以降は内服としている。タクロリムスはトラフ値で管理しており、8-10 ng/mlを維持している。
結果
33例の膵移植を行い、4例で膵graft loss (death with functioning graft 3例、移植膵周囲炎1例) を経験している。
当院の定型化している膵移植手術、管理について検討する。

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