O-016 東北大学における膵島移植の保険診療実施体制の構築

◎沖田 ひとみ1  伊藤 貴子1  佐藤 則子2,3  藤尾 淳4  戸子台 和哲1,2,4  岡田 克典1,2,5  海野 倫明4  亀井 尚1,4  後藤 昌史1,2,4,6
東北大学病院移植再生医療センター1 東北大学病院臓器移植医療部 2 東北大学病院看護部 3 東北大学大学院医学系研究科消化器外科学分野 4 東北大学大学院医学系研究科呼吸器外科学分野 5 東北大学大学院医学系研究科移植再生医学分野 6

 東北大学病院は、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、角膜といった法令で定められている全ての臓器移植に加え、膵島移植が実施できる全国でも数少ない施設である。これら多くの移植医療を円滑に推進するには院内の様々な部門の協力が不可欠であり、これまで臓器移植に関してはその部門横断的な役割を臓器移植医療部が一手に担ってきた。膵島移植においても、院内の連携構築やレシピエント対応において、臓器移植医療部の協力は必要不可欠である。しかし、膵島移植は組織移植の範疇に属するため、臓器移植とは異なり、ドナーコーディネートや、採取組織の保管、供給を実施するための組織バンクの設置が移植施設に求められる。特に組織バンク設置については、膵島移植の保険診療を実施するための要件として、特掲診療料の施設基準にて日本組織移植学会の認定バンク(カテゴリーⅠ)の取得が必要とされている。この組織移植特有の状況に対応すべく、本学においては2022年4月に東北大学病院移植再生医療センターを設立し、膵島移植のための膵臓提供施設でのコーディネート業務や採取・保管・供給業務、組織バンクの運営を担うことにより、臓器移植医療部との連携下で膵島移植の保険診療を実施する体制を構築することができた。さらに膵島移植の実運用を行っていく際には、感染症検査や組織適合性検査などのドナースクリーニング検査の一部を移植施設側で実施する必要がある。その中でも移植時のリンパ球クロスマッチ検査は、検査施設が地域でも限られており、これまでは外部機関への委託で対応してきたが、新体制構築により院内での実施が可能となった。今回の発表では、膵島移植を保険診療で実施するための実施施設基準への対応として、院内各部門間で構築した本学の新たな運用体制について報告する。

r Clinical Engineers. All Rights Reserved.