O-005 ブタ膵島移植の実現に向けてーブタ膵島長期培養の可能性ー
◎坂田 直昭1,2
川上 亮1,2
吉松 軍平1,2
小玉 正太1,2
福岡大学再生移植医学講座1
福岡大学病院再生医療センター 2
ブタ膵島異種移植を実現するためには良質な膵島の安定供給が必須であり、ブタ膵島の長期培養はそれを実現するための意義ある取り組みである。本研究では長期培養に伴うブタ膵島の特性・機能面への影響と長期培養されたブタ膵島が移植に利用できるかを検証する。30kg相当のマイクロミニブタからブタ膵島を分離抽出した。Viability、Purityはそれぞれ90%以上、80%以上であった。まず、ブタ膵島を24℃、5%CO2の環境で14日程度培養して各種機能評価を行った(n = 2)。培養膵島の形態およびviabilityは保たれ、glucose-stimulated insulin secretion(GSIS)は培養後でHigh glucoseでのインスリン分泌増強が認められた。培養膵島(2,000 IEQs)を糖尿病ヌードマウスに腎被膜下移植したところ、培養1日の膵島移植と同様の血中ブタCペプチドの検出と経時的上昇、graftectomy後の消失が確認された。次に温度環境を24℃もしくは37℃とする28日の長期培養を行なった(n = 1)。37℃の培養で免疫関連遺伝子(Ggta1p, Cmah)の減弱、膵臓再生ならびに膵島ホルモン関連遺伝子(Pdx1, Sox9, Neurog3, Ins, Gcg, Sst)の発現増強が認められた。GSISでは培養膵島でインスリン分泌能は減弱したが、24℃培養と比較した場合のその向上が確認された。培養膵島の移植実験では培養1日の膵島移植に比べて血中C-peptideの低値が認められたものの、移植後28日時点で培養ブタ膵島の生着が組織学的に確認された。ブタ膵島に対するRNA シークエンスでは培養後の主要組織適合抗原(SLA)の減弱が確認された。以上より14日程度の培養であればブタ膵島は移植に利用にできる可能性があること、28日で長期培養したブタ膵島を移植に利用するためにはさらなる培養環境の検討が必要だが、長期培養をする上で37℃がより適した温度環境であると考えられた。