O-009 膵移植待機1型糖尿病患者の血糖管理の課題-特に低血糖対策について-

◎佐藤 哲彦1,2  東 慶成1  大曽根 親文1  岡﨑 美香子1  佐々木 梨絵1  湯浅 淳1  平光 高久3  岡田 学3  長谷川 雄基3  田中 慧3  西沢 慶太郎4  余西 洋明4  二村 健太4  後藤 憲彦4  渡井 至彦3  鳴海 俊治3
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院糖尿病・内分泌内科1 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院病院総合支援部 2 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院病院移植外科 3 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院病院移植内科 4

【目的】1型糖尿病特に膵移植待機患者では、低血糖対策、血糖コントロールに課題を残している。現状では膵移植登録申請後、その待機外来での血糖コントロールの状況や、低血糖の有無及び膵移植登録施設での糖尿病治療介入の余地はまだ十分検討されていない。【方法】2018年1月より2022年11月30日までに当院膵移植待機外来を受診し、2022年11月30日までに当院での膵移植申請希望を確認し得た33名を対象とし、待機外来受診時に把握し得た血糖管理の状況を元に重症な無自覚低血糖の有無及び当科治療介入症例を検討した。【結果】該当期間内に膵移植待機外来に受診した33名のうち、膵移植を施行した患者は17名だった。全ての症例で十分な内因性インスリン分泌能を確認しインスリンを離脱した。このうち、糖尿病治療薬投与は1名1剤のみであり、良好な安定した耐糖能を維持していた。33名のうち他院から当科で治療介入へ移行した症例は4名、そのうち3名は該当期間内に膵移植を実施した。当科で登録前から治療継続していた症例は2名存在した。慢性腎臓病の腎機能低下のため、特に持効型インスリンが血液透析の有無やインスリン代謝の遅延の影響を受け、膵移植待機患者は重篤な低血糖にさらされがちであった。間欠式持続グルコースモニタリング以外にリアルタイムグルコースモニタリングとインスリンポンプを併用している患者が3名存在し、このうち1名は外来診察待合にて低血糖による一過性の意識消失となった。低グルコースアラートのためインスリンポンプ停止が作動中であったにもかかわらず、残存インスリンの影響のため低血糖による意識消失発作のため、介助を必要とした。【考察】特に末期腎不全における1型糖尿病の血糖管理が難しいこと、しかし低血糖を防ぎながら血糖管理をする介入を模索することは、膵移植待機中の1型糖尿病患者にとって移植医療を提供する立場からも、学会啓蒙活動上重要であると考えられる。

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