O-025 当院の膵腎同時移植1型糖尿病患者の血糖指標およびインスリン分泌能の経年変化
◎芳野 啓1
廣田 勇士2
山本 あかね2
上田 真莉子1
坂東 弘教3
山本 雅昭2
福岡 秀規1
外山 博近4
福本 巧4
小川 渉2
神戸大学医学部附属病院 糖尿病内分泌内科1
神戸大学大学院医学研究科 内科学講座糖尿病・内分泌・総合内科学分野 糖尿病・内分泌内科学部門 2
神戸大学医学部附属病院 臨床研究推進センター 3
神戸大学大学院医学研究科外科学講座 肝胆膵外科分野 4
【背景】膵腎同時移植により、HbA1cや空腹時血糖値、ブドウ糖負荷後2時間血糖値は正常化し、腎臓単独移植と比較して生命予後改善も示されている。膵腎同時移植後の血糖変動およびインスリン分泌能について中長期的に評価した報告は少ない。【目的】膵腎同時移植後患者の中長期的な血糖変動およびインスリン分泌能の変化について検討した。【方法】当院での膵腎同時移植後の1型糖尿病患者における移植1年以内から移植後10年目までの期間の75gブドウ糖負荷試験(75gOGTT)およびグルカゴン負荷試験を実施、血糖およびインスリン・Cペプチドを測定した。【結果】移植手術は11名、1名は再移植ありで手術件数は12件であった。グラフト摘出、グラフト機能不全、死亡、転居等は除外し対象は5名となった。平均年齢51.4±6.4歳、男女1:4であった。75gOGTTは移植1年以内から最大9年目まで実施したがいずれの症例も負荷前血糖126mg/dl未満および2時間血糖値200mg/dl未満であり、糖尿病の診断基準は満たさない耐糖能を示した。グルカゴン負荷試験では症例毎にΔCPR増減は異なっていたが、いずれもインスリン分泌が保たれていると判断される1ng/dl以上で経過した。【考察】膵腎同時移植後患者において、75gOGTTおよびグルカゴン負荷試験の結果より血糖の増悪およびインスリン自己分泌の明らかな低下は認められなかった。移植後患者を個々で観察すると、75gOGTTの血糖変動に差異が認められた。現在の膵腎同時移植は移植膵を骨盤内におき、移植膵灌流血は門脈ではなく大循環に流入させており、従来のインスリン分泌能と比較することは難しい。症例毎に75gOGTTおよびグルカゴン負荷試験を経年で観察し評価する必要があると考えられる。【結語】当院における膵腎同時移植症例5例において、最大移植後9年目まで、75gOGTTでの耐糖能はNGTのレベルを維持していた。