O-023 膵腎同時移植後の副甲状腺機能亢進症
◎岡田 学1
鳴海 俊治1
佐藤 哲彦1
後藤 憲彦1
平光 高久1
東 慶成1
二村 健太1
長谷川 雄基1
渡井 至彦1
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院1
目的
慢性腎臓病に由来する副甲状腺機能亢進症(HPT)は、腎移植後もしばしば遷延し腎移植患者の予後と関連することが知られている。一方で、膵腎同時移植(SPK)患者においてもHPTが問題になることを経験する。本報告の目的はSPK後のHPTの頻度、リスクおよび臨床意義を明らかにすることである。
方法
2010年以降に当院にて施行されたSPK症例を対象とした。移植1年後の血清副甲状腺ホルモン(PTH)値が基準値を超える症例をHPTと定義し、HPT群とHPT-free群の2群に分けた。患者背景を2群間で比較し、治療介入を要した症例について治療方法と経過について調査した。
結果
移植後1年以上経過する膵腎移植症例27例のうち、17例においてPTHが基準値より高値であった。2群間で腎機能に差を認めなかったものの、透析歴はHPT群においてHPT-free群よりも長い傾向があった(平均99 vs. 56ヶ月, P=0.057)。高カルシウム血症を呈した6例に対しては副甲状腺摘出術もしくはカルシミメティクスにて治療介入された。
結論
SPK症例のおいてもHPTは比較的高頻度であった。HPTのSPK症例における予後への影響は明らかではないが、高カルシウム血症や著明な骨量減少を呈する症例が存在するため、必要に応じて治療介入を検討すべきである。