WSP1-004 当院における移植外科医としての修練体制と次世代への継承
◎松島 肇1
足立 智彦1
今村 一歩1
大野 慎一郎2
吉野 恭平1
丸屋 安広1
原 貴信1
曽山 明彦1
日髙 匡章1
江口 晋1
長崎大学大学院 移植・消化器外科1
琉球大学大学院 消化器・腫瘍外科 2
当科は2016年に膵臓移植実施施設の認定をうけた。膵臓移植プログラムを開始するにあたり、外科医の国内外の膵臓移植ハイボリューム施設への留学(海外1名、国内2名)や手術見学、また2017年の当院1例目の膵臓移植実施の際には他施設の経験豊富な移植外科医による手術指導を賜り、以降2022年までに8例の膵腎同時移植を経験した。このように膵臓移植の手術経験はいまだ限られてはいるが、現在では自施設での移植チームで膵臓移植手術や周術期管理を行うことができるようになった。その背景には当科での移植診療体制にある。当科では肝移植、膵臓移植、小腸移植のプログラムを有しているが、移植臓器にかかわらず肝胆膵外科チーム総勢で移植手術、周術期管理にあたっている。当科では1997年から2022年までの間に脳死・生体合わせて341例の肝移植を施行してきた。膵臓移植チームも膵臓移植のみならず肝移植手術やその周術期管理に参加し、中堅、若手外科医が肝移植での手術手技のトレーニング、特に血管吻合やBench surgeryなどを執刀医または第一助手として経験することができる機会が与えられている。また、脳死ドナー手術に関しても膵臓移植チームが膵臓のみならず肝摘出手術にも参加する機会を作ることで、ドナー手術の知識をより深め、幅広い手術手技を習得することができる。このように若手外科医が移植臓器にとらわれず、多くの移植手術、周術期管理に参加することで、経験できる機会が限られている膵臓移植の手術手技の習熟、周術期管理の次世代へと継承と発展を目指している。