O-010 脳死下膵腎移植の長期待機患者の登録症例の見直しについて
◎加藤 孝章1
小寺 由人1
平田 義弘1
本田 五郎1
江川 裕人1
東京女子医大消化器一般外科1
(背景)2020年本邦膵移植症例登録報告によると術後6か月以降の死因として悪性腫瘍、心疾患、脳血管障害が多くを占めている。心血管疾患はⅠ型糖尿病の最たる死因であり、膵移植の長期成績に影響を及ぼす。待機患者の登録の継続可否については判断が困難なことがある。今回、脳死下膵腎移植の長期待機患者の登録の取り消し症例について検討した。(対象)2020年4月時点で登録84例中、取り消しされた17例(20.0%)を対象とし、臨床的背景について検討した。()は中央値記載。(結果)症例の年齢は34~61歳(51歳)、BMIは16.9~30.6(22.2)、糖尿病発症年齢は3~33歳(13歳)、糖尿病罹患歴は20~47年(36年)、透析歴は0~300か月(10年1か月)、登録期間は901~8255日(2619日)、取り消し理由は死亡が2例(心疾患)、コンプライアンス不良が6例、合併症の進行(心血管疾患4例、脳血管疾患2例、腹部大動脈の高度石灰化5例)、手術困難例が1例(2回の生体腎移植後)、その他が1例(肺疾患)(重複あり)であった。(結語)待機期間が長くなるとコンプライアンス低下や疾患に伴う合併症の進行により登録継続が困難になる。