脳死膵腎移植における十二指腸再建方法および胃十二指腸動脈再建の有無と十二指腸関連合併症の関係について
◎平田 義弘1
加藤 孝章1
小寺 由人1
本田 五郎1
東京女子医科大学 消化器・一般外科1
【背景】 脳死膵臓移植における合併症の一つとしてグラフト十二指腸関連の合併症がある。生存率には影響ないものの、入院期間が大幅に延長したり、膵液瘻による二次的合併症を繰り返したりするなど患者のQOL低下にもつながる合併症である。今回我々が経験した4例の十二指腸関連合併症の詳細および、この合併症における十二指腸再建方法および胃十二指腸動脈再建の有無との関係について解析した。
【方法】 2020年10月から2022年12月までに施行した脳死膵腎同時移植の9例を対象とした。十二指腸関連合併症群4例、無合併症群5例で十二指腸再建方法、胃十二指腸動脈再建について解析した。
症例数が少ないため統計学的解析は施行していない。
【結果】 十二指腸再建:6例目まではレシピエント回腸とグラフト十二指腸の側々吻合(Endo GIA 45mm)で再建した。7例目以降の3例ではRoux-en-Y吻合、十二指腸挙上回腸は1〜1.5cmの吻合口を作成し、回腸回腸吻合は端側で、いずれもAlbert-Lembert法にて吻合した。
GDAの再建:バックテーブルにてSMAからのバックフローを肉眼的に確認し、バックフロー良好であれば再建せず、不良であればGDAと総肝動脈を端々吻合した。
合併症群(4例)における十二指腸再建は全て側々吻合、3例(75%)でGDA再建を施行した。非合併症群(5例)における十二指腸再建は3例で側々器械吻合、3例でRoux-en-Y 用手吻合で、2例(40%)でGDA再建を施行した。
【結論】 GDA再建の有無と十二指腸関連合併症の関係は示唆されなかった。十二指腸回腸吻合に圧がかからない十二指腸再建方法が十二指腸関係合併症の回避に重要と考えられた。