WSP2-001 日本臓器移植ネットワークから見た脳死ドナーからの膵島移植へのあっせんシステムにおける現状と課題

◎清水 聡子1  大宮 かおり1  芦刈 淳太郎1  渡辺 勇1  竹村 裕介1  北村 聖1  門田 守人1
公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク1

2010年8月~2021年3月末までの脳死下臓器提供656例のうち、膵臓の提供は376例、膵島の提供に至った事例は16件であった。
日本臓器移植ネットワークの臓器移植コーディネーターは、5類型該当施設に入院するドナーとなりうる患者家族に面談を行う前に、組織提供の対応エリアの確認、施設における組織提供ができる体制の有無、摘出可能な組織の医学的適応について事前確認を行った後、家族に対して組織提供に関する情報提供を行うことの検討を行う。膵臓が医学的な理由で移植できない場合には、膵島移植班事務局にコンサルトを行い、膵島ドナーとして医学的適応があると判断された場合には、家族に対して膵島提供についての意向確認や組織コーディネーターとの面談調整を行うなどの一連の対応を行っている。しかし、同プロセスではドナー家族にとって臓器や組織の別々のコーディネーターから説明を聞き、承諾の手続きを二重で行うこととなり、家族を失う悲嘆の中で時間的拘束が長い、手続きが煩雑となるといった心的・身体的負担発生することが課題となっている。一部地域においては、ドナー家族の負担軽減を主目的として臓器移植コーディネーターが家族へ初回面談を行う際に組織移植コーディネーターも帯同し、家族が組織提供の説明を希望した際に、臓器提供の説明に続き、組織提供についての説明を行う場面が増えつつある。
脳死下膵島移植を進めるためには、臓器・組織提供の連携を高め、ドナー家族に与える負担軽減に配慮しながらドナー家族の組織提供に関する意向を汲み取る環境の整備が必須であると考える。今回は、日本臓器移植ネットワークから見た膵島を含む組織移植連携の現状と課題について報告する。

略歴
2001年4月 日本臓器移植ネットワーク入職 近畿ブロックセンター配属
2002年7月 日本移植ネットワーク統廃合により大阪オフィス配属
現在に至る

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